当記事では「サーバ運用・保守の仕事内容や良い部分・大変な部分」を現場経験のある私からお伝えしていきます。
悩み事
- サーバ運用・保守の仕事内容を知りたい
- 興味があるけど、ITスキルの無い僕でも入れますか?
- 仕事の良い点・悪い点など現場経験者の意見を聞きたい
上記の疑問にお答えします。
IT業界の求人情報を見ていると「サーバ運用・保守募集」という言葉を良く見かけるかと思います。気にはなっているけど「仕事内容がよくわからない」「スキルマッチするか心配」というあなたに、サーバ運用・保守の仕事内容や必要なスキル、仕事のやりがい・つらいところなど詳しくお伝えしていきます。
当サイト管理人の認三郎です。IT業界に12年間勤めてきました。今まで「サーバ運用・保守」「DBエンジニア」「VBプログラマー」など多くの業務を経験してきた私から、現場の実態を包み隠さずお伝えできればと思います。
記事の内容
・サーバ運用・保守の仕事内容
・サーバ運用・保守の良い部分と大変な部分
・サーバ運用・保守はどんな人が向いている?
当記事を読めば、サーバ運用・保守がどういった業務を行うのか理解し、自分に向いているのか見定めることができるでしょう。
大体5分で読める内容にまとめていますので、仕事選びの参考にしていただけたら幸いです。
サーバ運用・保守ってどんな仕事?
サーバ(システム)やネットワークを安定稼働させて、最適な状態に維持管理するのが仕事です。
サーバ運用・保守とまとめて呼ばれがちですが、実際は「サーバ運用」「サーバ保守」という2つの業務に分かれています。
運用と保守の違い
・サーバ運用:監視・チェック、定例ジョブ実行
・サーバ保守:システムの最新化、バックアップ、障害復旧
警察に例えるなら、街を見守る派出所勤務の巡査が「サーバ運用」で、犯罪や事件を解決する刑事が「サーバ保守」のような関係です。ちょっと強引ですかね。
私は「サーバ保守」の仕事を担当したことがあります。
以前に働いていた企業には、オペレータと呼ばれる365日勤務する「サーバ運用」を専門にする部署があり、彼らが日々のサーバ状況を監視しつつ、システムのメンテナンスや障害時の復旧作業を行うのが私のいた部署の仕事だったって感じです。
求人情報に「サーバ運用・保守」と記載されていたとしても、保守メインで募集をかけているケースだってあります。このあたりは、実際に採用担当者に聞いてみるしかないですね。
サーバ運用・保守の仕事内容
サーバ運用・保守は割と細かい作業が多いです。
いくつか例を挙げてみます。
サーバ運用 | システム監視、ジョブ作成&実行、ユーザ管理、アクセスログ取得&分析、運用マニュアル作成 |
サーバ保守 | システムアップデート、パッチ当て、バックアップ、機器交換、障害復旧 |
慣れると途端に楽になりますよ。
例えば、システム監視ならチェック項目は決まっているでしょうし、システムアップデートも販売メーカー提供のマニュアルを参照するか、有償のメーカーサポートで対応してもらうなど考えられますね。
とはいえ、分刻みで動かないと作業が滞ってしまうのは確か。割とバタバタしますが、基本的にチームになって進めることが多いので、困った時はお互いに助け合えばなんとか終わります。
未経験からの転職でも、割と許容されやすい業界だったりします。
サーバ運用・保守はITスキルが無くても問題無し
あなたが新卒ならノースキルで、まったく問題ありません。サーバの知識・技術って、机上論で磨くのはほぼ不可能だからです。
学校で教えてくるのは「プログラミング」「動画編集」あたりが関の山ですね。私も大学ではIT系を専攻していましたが、サーバなんて触ったこと一度もありませんでしたよ。
実際、私の勤めていた企業でも「文系大卒」「経済学部卒」でサーバ運用・保守を専門の部署に配属される人は多かったですね。逆に新卒でITスキルが高い人は、システム開発をメインに行う部署に配属される傾向がありました。
なので、サーバ運用・保守をやってみたいなら、とりあえず求人に応募してみましょう。勉強するよりも行動と熱意が大事です。
仕事内容でお話したとおり、マニュアルに沿った作業がほとんどなので、30歳までは未経験でも受け入れてくれる企業は多いです。ただし、30歳を越えてくると、「保守計画」「機能改善・分析」などが出来るリーダークラスの仕事を求められます。とはいえ、「34歳 未経験」で採用してくれる企業はがゼロということはないので、根気よく探していきましょう。
自分で見つけられない時は「転職エージェント」に頼るのも手です。
サーバ運用・保守の良いところ
サーバ運用・保守は「システムを安定稼働させる」という使命感のある仕事です。
いくつかサーバ運用・保守に従事するうえで、やりがいに繋がる良い部分をお伝えしていきますので、ご覧下さい。
サーバ・ネットワークスキルが身につく
個人の成長に繋がる大きなメリットはここかなと思っています。
例えばサーバ関連なら「基盤の構築」「OSのインストール・設定」「ミドルウェアのインストール・設定」と様々な経験を積むことができます。ネットワーク関連なら「IP割当」「疎通確認」「ルーティングテーブルの設定」とかですね。
サーバOSって様々。Windows以外にもUNIX・Linux・Solarisなどがありますね。これらを触る機会って、なかなかに貴重ですよ。また、企業で扱うようなハイスペックサーバを個人で揃えると、軽く1,000万超えたりします。ちょっと無理ですよね。給料をもらって高級サーバいじりが出来るって考えると、楽しくなってきませんか。
私が勤めていた会社では「Linux」というOSを使って環境構築することが多かったです。正直、学生時代には名前くらいしか聞いたことなかったので「?」でしたが、コマンドの実行やシェルスクリプトを作成したりしていると次第に覚えること出来ます。
私生活で馴染みのないコマンドを覚えるのは大変に思うかも知れませんが、「先輩に聞きまくる」&「ネットで調べる」を繰り返せば3ヶ月くらいでスラスラ打てるようになるので安心して下さい。
早く覚えるコツは、コマンドを暗記しようとせず、やりたいことから逆引きするが正解です。コマンドばかり必死に眺めていると、眠くて嫌になりますよ。
日経XTECHのLinuxコマンド逆引き大全は、検索意図を捉えたパターンが多いので、私もよく利用していました。
定例作業が多い(パターン化できる)
サーバを安定稼働させることがお仕事なので、基本的には決まった業務の繰り返しになることが多いです。
例えば、以下の感じですね。
サーバ運用・保守の業務
・システムログの収集:ログファイルを顧客や開発部門に提供する。
・定例ジョブの実行&結果確認:ジョブが正常終了しているか見る
・CPU、メモリ負荷状況チェック:サーバのスペックが足りているか確認
いずれの作業も手順をパターン化できます。つまり、運用マニュアルをしっかり整備しておくことで、失敗リスクを減らしつつ、淡々と作業に勤しむことが可能になるので、慣れてくると悩む場面が少なくなりますよ。
あなたが「コツコツ作業を積み重ねるのが好き」「割と几帳面」なタイプなら、サーバ運用・保守は天職と言えるでしょう。
ただし、リーダークラスになるとメンテナンス計画や性能評価など、頭を使う仕事や打ち合わせも増えてきます。上を目指すのであれば、日々考えながら仕事する必要がありますね。
残業が少ない
IT業界って、定時以降も残って仕事、仕事が終わらなくて徹夜、みたいなイメージを持たれがちですが、サーバ運用・保守は残業が少ない仕事です。なぜ残業が少ないかというと、「定例作業が多く、時間交代できるから」ですね。
例えば、朝9時~18時まで勤務の場合。18時になったら、次のメンバーに作業状況を報告して交代するって感じです。途中の仕事があってもパスして完了なので、居残る必要が無くなります。
その代わりシフト制だと、土日出社が多いというデメリットはあります。とはいえ、代わりに平日が休みになるので、総合的に見ると仕事をしている時間は少ないと言えますね。
サーバ運用・保守の大変なところ
サーバ運用・保守は一見楽な仕事のように思われがちですが、当然大変な部分だってあります。
実際の現場を見てきた私から、サーバ運用・保守の大変だと思われる部分を、包み隠さずお伝えしていきます。
夜勤が多い
サーバ運用・保守という仕事は、割と「サーバ・ファースト」な世界です。
・サーバは24時間稼働:夜の監視も必要
・サーバ障害発生:とにかく迅速に復旧させる
・サーバの挙動が変:徹底的に原因調査
上記の通りで、我が子をあやすが如くです。
夜も誰かしら会社にいる必要があるため、シフト勤務になります。もちろん、土日も出社になる場合が多いですね。(代わりに平日休みになる)
私が勤務していた会社では、サーバ運用を行うオペレータは「9時~17時」「17時~1時」「1時~9時」の3つのシフトで動いていました。
ずっと同じ時間に出社なら良いのですが、「9時~17時」⇒「1時~9時」みたいに時間変更が起きるので、体調管理が大変です。
障害対応はマジでしんどい
サーバが安定稼働しているうちは、とにかく楽という現場が多いですが、時にシステム異常や機器故障など想定外の障害が起きてしまうものです。
特に復旧が困難なサーバ障害はつらいの一言。顧客には怒られるし、精度とスピードも求められるので、精神的にめちゃ疲労します。
私の経験談ですが、オペレータの作業ミスが原因で、サーバ内のフォルダへのアクセス権限が外れてしまったことがあります。
プログラムは大量のエラーメッセージを表示し、監視用のパトランプはずっと鳴りっぱなし。メンバー総出で調査を行ってアクセス権限を戻したは良いものの、影響調査&処理復旧が大変で、結局終わるまで20時間くらいかかりましたね。ぶっ倒れる寸前でした。
大事なことは、作業ミスを減らす意識や工夫をチーム全体で持ち、どうすればサーバが安定稼働し続けてくれるのか考えることです。
給料安い
サーバ運用・保守は、IT業界の中でも割と年収は低めです。
転職会議が調べたサーバ運用・保守の「平均年収は411万円」だそうです。プログラマーよりは高いようですが、ITコンサルタントと比べてしまうと、200万円近く開きがあって悲しくなりますね。
大手企業勤務なら年収1,000万円オーバーを狙えますが、新卒だとよほど優秀じゃないと狭き門です。もっとお金が欲しい人は、まずは中小企業の現場でスキルを磨きつつ、大手企業に転職するのが良いでしょう。
サーバ運用・保守の適正【向き・不向きな性格は?】
サーバ運用・保守は、淡々と作業をする忍耐も必要ですが、それ以上にチームワークがとても重要な仕事。「コミュニケーション能力に自信がある人」「周囲に気遣い出来る人」は向いている仕事ですね。
サーバ運用・保守が向いている人
・チームプレイが好き
・コツコツ作業を積み重ねるのが好き
・責任感を持って仕事ができる
一番大事なのは業界に興味があるかですね。IT関係の仕事をしたいけど、プログラムなんて出来ない…という、あなたには「サーバ運用・保守」が向いているかもしれないですね。
逆にサーバ運用・保守という仕事は、作業をきっちりこなす責任感・チームワークが必要になるので、以下のような自由奔放(じゆうほんぽう)な性格の人には向いていません。
サーバ運用・保守が向いてない人
・仕事に対する責任感が薄い
・ルールに沿った仕事をしたくない
・協調性がまったく無い
そもそも、上記に当てはまる人は、労働への意識が著しく低いのでちょっと危険。会社員で長く続けるためには、マインドセットを切り替える努力をした方が良いですね。
将来性は?サーバ運用・保守の今後を予想
サーバ運用・保守の仕事を目指している方が不安に思うのが、IT技術の進歩やAIの普及によって仕事が無くなってしまわないかという部分かと思います。
例えば、サーバに問題が起きていないか、毎回自分の目で見るのって大変じゃないですか。そういった場合は監視用のミドルウェアを導入して自動化します。有名どころだと、富士通の「Systemwalker Centric Manager」(以後、SWCMと呼ぶ)ですね。
SWCMを導入すると、サーバに不調が起きたり負荷が増大している時に、アラートを鳴らして教えてくれます。要はアラートが鳴らない限りは安定稼働しているってことなので、確認作業がひとつ減りますよね。こういった無駄な作業の自動化は積極的に取り入れていくべきでしょう。
とはいえ、完全に自動化しきれない部分だってあります。例えば以下の通り。
完全自動化が難しい部分
・ジョブを動かす順番を決める
・監視ルールを決める
・顧客向けの分析レポート作成
・障害発生後の影響調査
要は決定時に「人の思いを反映しなければいけない」部分です。お客さんの希望を無視して、AIに好き勝手されたら迷惑ですからね。
さらに自動化には、設備投資するための莫大な必要が必要。中小企業は、システム導入コストを捻出することすら困難と言えるでしょう。とはいえ、経営者の立場からすれば「問題も起きてないし、このままでいいよ」って判断になるかもです。
以上を踏まえて、僕個人の見解を述べると「サーバ運用・保守」という仕事は100年後も残り続けると予想しています。
まとめ:サーバ運用・保守は地味だけど重要なポジションです
サーバ運用・保守という仕事が、どのようなものか理解していただけたでしょうか。
おさらい
- サーバを最適な状態に維持管理するのが仕事
- サーバ&ネットワークの技術スキルを磨ける
- 未経験からでも就職(転職)しやすい
- 残業は少ないけど夜勤が多い
サーバ運用・保守は「コツコツ繰り返す作業が得意」「コミュニケーションを取るのが得意」な人に向いている職業かなと思っています。ITスキルは現場で身につければ良いので、未経験という方でも積極的にトライしてみて下さい。十分、入社できる余地はありますよ。