会社に入社して2~3年を過ぎてくると、後輩に仕事を教える機会も増えてくるかと思います。
自分が指導する立場になった時、一生懸命仕事を教えているはずなのになぜか上手く伝わらなくて悩んでしまう事はありませんか。
悩み事
・きっちり伝えたはずなのに、後輩が同じ失敗ばかりする
・何度説明しても覚えてくれない!何故だろう…
・わからないところは遠慮せず質問して欲しい…なんで聞いてこないんだろう。
「質問しないアイツがいけない」「後輩の理解力が悪いせいだ!」と決めつけてしまうのは簡単ですが、本当にそれだけが原因でしょうか。
実は逆効果だったという可能性も十分あり得ます。
当記事では、私が大手IT企業に12年務めて培ってきた『仕事を上手に教えるコツ』をご紹介します。
私の意見が絶対に正しいということでは無いのですが、実際に10人以上の後輩を指導して成果を出す事ができた方法だと自負しています。
失敗する原因と対策をご説明しますので「あっ…ちょっと当てはまるかも」と少しでも感じたら、試してみる価値はありますよ。
大体5分で読める内容となっています。ご覧下さい。
仕事を教えるのが下手な人の特徴と原因
仕事を「教えたい」「覚えてもらいたい」気持ちがあるのに、上手に伝えられない人って結構います。(単純に教えるのが嫌いな人は論外なので今回は割愛します)
特に以下のような性格の人は『教える』の意味をはき違えている可能性が高いです。
教えるのが下手な人の特徴
・話をするのが好き
・完璧主義者
・教えるまでが自分の仕事だと思っている
「話をするのが好き」「完璧主義者」は、一見すると教えることが得意そうな気がしますが実は逆効果なんです。
順番に解説していきますね。
話をするのが好き
意外に思うかもしれませんが、おしゃべりな人って割と教えるのが下手です。
私の経験上、話好きな人って自分の話題をしゃべりたがるものです。コミュニケーションを取るという意味では有効と言えますが、人に物事を教える時に、自分の考えを押し付けてしまいがちな人が多いんですよ。
自分が気持ちよく話せて満足する前に、相手を満足させる事を考えてみましょう。
完璧主義者
仕事を教える時に細かく伝え過ぎるのも考えものです。
きっちり仕事を覚えてもらおうと頑張って説明していたら、30分経っていたなんて経験はないですか?
そんなに長く話しても相手は覚えきれないですよ。
漏れなく話す事が正解ではないのです。大事なのは「相手が理解してくれてるか?」「付いてこれているのか?」といった、雰囲気を感じ取ることなんですね。
あなたの無意識な防衛本能が働いた結果だと思っています。
「あの時、教えたよね!」と後で言える状況を作りたいのはわかりますが、相手の理解を越えた話をするのは『教え』ではなく『押しつけ』です。
小学生に経営学の話をしても理解できないのと一緒で、相手のレベル感に合わせた話し方をしないとダメなのです。
教えるまでが自分の仕事だと思っている
教える事の本質をもう少し考えてみましょう。
本当に相手の覚えが悪かったとしても改善する方法が何かあるはずです。それなのに、相手のせいばかりにして自分は何も行動を起こさないのはよくない傾向と言えます。
私が考える教えの定義は『相手が理解して実践するところまで出来て完結する』と考えています。
「なんでそこまで面倒みないといけないの?」と思うかもしれませんが、そのくらいの気持ちで臨んだ方が上手くいく可能性は高いですし、後々教えた事への達成感が生まれて、あなたの自信にも繋がるはずです。
また、教え上手だと会社からの評価も上がりやすく同僚からも信頼されやすいです。どこの会社でも役に立つスキルなので、早い段階で身に着けておいて損はありません。
多少面倒に感じるかもしれませんが、実行するメリットの方が大きいと私は思いますよ。
仕事を上手に教えるコツは「自分本位にならないこと」
私の経験上、教えるのが上手い人って特別な技術を持っているわけではなくて「相手の立場に寄り添って教える意識を持つ事」が出来ているだけなのです。
教えるのが下手な人は、無意識に自分本位になりがちなので上手くいかないのです。
アプローチのやり方を間違えると空回りで終わってしまいますね。
「わかっていて当然」という固定観念は捨てるべき
言い方は悪いのですが、「仕事が出来る人」「覚えが悪い人」両方いるのが会社です。全員に同じ教え方をしていてはダメで、相手のレベルを意識して話す心構えが必要になってきます。
例えば、きゅうりを千切りにする方法を教える時に「薄切りにしてから重ねて細く切ると効率的だよ」と伝えたとします。普段から料理をする人なら理解できますが「薄切りって何?」「包丁の使い方がわからない…」って人もいるはずですよね。
上記は「薄切り」や「包丁」は知っていて当然の知識という思い込みがあるので、実際は相手に伝わっていないケース。まさに『自分本位な話し方』と言えるでしょう。
まずは、この程度わかっていて当然という工程観念を捨てるところから始めましょう。
相手に寄り添えば自然と上手くいきます
相手の心理状態を読まないといけないの?と考えてしまった人もいるかもしれませんが、まったく必要無いです。
実は教える方向性を『自分から相手』ではなく『自分と相手』に変える事で、上手に教えられるようになります。
よくわからない説明になってしまったので、ひとつ例文を載せます。
テーマ:おにぎりの握り方
悪い例
清水さん「おにぎりはふんわり優しく握ることが大切なんだよ。」
木下さん「へぇ、そうなんですね。」
清水さん「少し熱くても我慢だよ!まぁ、やってみたらわかるさ。」
良い例
清水さん「おにぎりを握った事はあるかい?」
木下さん「ありますけど、手にご飯が付いてイライラするし、丸くできないんです。」
清水さん「握る前に手を濡らしているかな? 濡らしておくと手に付かなくなるよ」
木下さん「そうなんですね!知りませんでした。」
清水さん「きれいに丸くするコツは、ふんわり優しく握る事。イメージ伝わるかな?」
木下さん「なんとなく…。」
清水さん「それじゃイメージが湧くように明日一緒に作ってみよう。」
木下さん「わぁ、ありがとうございます!」
ちょっと極端な例で恐縮ですが、『良い例』で赤字にしている箇所がポイントです。つまりは会話の中に『疑問文』をさり気なく混ぜて相手の理解度を確認すれば良いのです。
端的に言うと『巻き込み式の教え方』って感じでしょうか。
巻き込み式の教え方は記憶に定着しやすい【相手に考えさせるのが大事】
仕事を教える時に『疑問文』を混ぜ込むようにすると、聞き手が当事者意識を持つので記憶に定着しやすくなるんです。
人間って話を聞くだけの立場だと「ふーん」程度にしか思わなくても、話す立場になると「しっかり意見を言えないとまずい!」と焦る生き物です。このような思考を逆手に取って仕事を教えてみると効果的です。
日本人は特に遠慮がちな人が多いので、なんとなくわかった風なフリをする人が多いです。『疑問文』を投げかけて聞きやすい空気を作らないとなかなか質問はもらえないと思っていた方が良いですよ。
また、「何か聞きたいことある?」という広い間口で聞くのは、回答しにくいのでやめましょう。相手が答えやすいように「~はわかった?」「~について質問は?」など具体的に聞くようにした方が良いですね。
まとめ:相手に寄り添う教え方を実践して『頼れる先輩』になろう!
教えの根源とは『伝える事ではなく、理解させる事』だと私は考えています。
仕事を教える事って、説明の準備や相手の理解度を確かめる必要があって実際面倒ばかりなんですが、仕事を覚えてもらえれば最終的にあなたも仕事の負担も減りますし、上司からの評価だってあがって良い事ばかりです。
頼られてる実感が持てると、仕事が一層楽しくなってきますよ。
是非、教え上手の頼れる先輩に一歩近づくために実践してみて下さいね。